あんまり早くから手をつけないでおこうと思っていた『エリザベート』なのに、何故か今回取りあげてしまった。しかも「衣装」のネタに。この作品、皆さんご存じのように衣装が少ないのだ。２着半だもん。だから、１つ取りあげるとあと１つしか残らないことになる。いいかなあ、とか思いつつやってみる。ご存じ「闇が広がる」の衣装である。って言っても、今回取りあげるのはフィナーレのダンスの方。あの青い上着と黒のズボンである。『エリザベート』のフィナーレというのは組ごとに微妙に違いがあるが、最初に２番手（フランツ役）が「愛と死の輪舞」を歌うのと、男役が大階段で「闇が広がる」を踊るのだけは共通している。ただ、曲の長さとかは少しずつ違っている。これはトップスターがダンスが得意だったか否かっていうのも作用しているように思われる。シンプルな揃いの衣装で男役がズラッと踊るのは、見ていて楽しかった。この衣装の特徴は、やはり上着かな。とてもきれいな青で、襟が高くなっていて、真ん中にＶみたいな模様が入っている。その模様の部分だけが「光もの」（ラメっぽい感じ）になっている。客席で見ている分には全然わからなかったけど、Ｖのところでホックか何かで止めていたのだろう。上着の裾はエンビのような形になっている。この上着の真ん中を離して襟を折ったら、多分エンビの上着のようになるのだと思う。詰め襟の襟を下に折ると、いわゆる背広になるのだと聞いたことがあるが、この上着もそういう構造なのだろう。ちなみにズボンは股上がとっても長かった。っていうか、もしかしたらオーバーオールみたいな構造だったのかも知れない。サスペンダーで吊ってるって風ではなかった。たあたんはこのときお茶会で「とっても踊りやすい衣装です」と言っていたっけ。実際、きれいなシルエットでよく似合っていた。実はこの衣装、本編の「闇が広がる」と密接な関わりがある。興味のある方は写真、またはビデオなどを見ていただくとおわかりいただけると思うけど、この歌を歌う（例のデュエットだす^^）ときのトート閣下の衣装は、生地や質感の違いはあるものの、同じように真ん中にＶみたいな模様の入った黒の衣装なのである。その形は「色違い」というにはちょっと「？」だけど、とってもよく似ている。おまけに上着の色は、ルドルフの軍服と殆ど同じ感じ。ちょっとフィナーレナンバーの方が青が鮮やかかな、という気もするけど（軍服は群青色かかってる気がする）、これも写真によっては全く同じ色に見えるものもあり、何とも言えない。でも、一目見ただけでルドルフの軍服を彷彿させる色であることは間違いない。つまり、曲が「闇が広がる」であるだけでなく、衣装もちゃんと「闇が広がる」になっている訳である。なかなかおもしろい関連づけだと思う。まあ、振付は先生が違ったので（本編は尚すみれさん、フィナーレは羽山紀代美さん）全然違う感じだったけど。でも、衣装は「闇が広がる」を彷彿させても、フィナーレナンバーにルドルフはいなかった。髪をなで上げ、キリッとした顔で踊っていたたあたんを見ても、ビギナーさんなら「この人誰？」としか思えなかっただろう。同じように眉間にしわを寄せても、ルドルフのような表情には絶対にならないのだ。まあファンとすれば、そのギャップがまたまたおもしろいんだけどね(^^)。さっきも書いたように、雪組の後上演された星組・宙組でも、この場面は同じように踊られた。ただし、衣装の感じは少しずつ変わってきている。星組のは基本的には雪組と同じものが使用された。違うところと言えば、階段を下りてくる３人だけが、ちょっと光り物が多い衣装になったところかな。実はこの衣装の方が、例のトート閣下の衣装とはよく似ている。ちょっと黒が入ったりして。ただ、全員が揃いの衣装で踊るって良さは、少しの変更でもぶっ飛んでしまった。まあ、群舞としては星組の方が揃ってはいたけど。宙組となると、もっと見た目に「？」だった。衣装はベルベット調の豪華なもので、光り物のボタンなんかがついていたし、上着とベストに別れていて、ズボンは上着と同色。でもこの衣装は本編との関連づけがない。全然別個の場面になったのだという感じである。おまけに、階段を下りてくる３人とそのほかの人とが「色違い」になってしまったので、ダンスも何だか「不揃い」に見えた。質感は豪華でも、場面の印象は鈍重（言い過ぎかなぁ…）な感じになったのは、衣装が何だか「重そう」に見えたせいかも知れない。ところでこれらのちょっと変わった衣装を、何故かたあたんは両方とも着ているのだ。いつ着たかというと、それぞれ翌年のＴＣＡスペシャルで使用されたのである。まず星組のは９７年に、花組の若手？でＳＭＡＰの「ＳＨＡＫＥ」を歌ったときに着ていた。これは５人で歌ったのだが、他の４人は雪組のときの「お揃い」のやつで、たあたんだけが星組の「光り物が多い」分。ちょっと袖を折ったりしてラフな感じにしてあったせいか、どーも「闇が広がる」のノーブルなイメージとはほど遠かった覚えがある。たあたんの髪も、曲に合わせて？サラサラッとした感じだったし。宙組のは今年ので、フィナーレにリカちゃんと「すてきなあの娘」を歌った時に着ていた。使われたのは「階段を下りてくる３人」が着ていた、紺色のもの。これも「この衣装って、こういう感じの方がピッタリくるなあ」って気がした。オーロと同じようにセットした髪型ともよくマッチしていて、とっても似合っていた。余談ながらこの２人、前に「ジタン・デ・ジタン」を歌ったときも、確か紺色のベルベット調の衣装だった。よくよくこういう衣装が似合う２人だと思われているようである。ってな訳で、結局のところたあたんは「闇が広がる」の衣装とは未だに縁が深い。まあ、彼女が名場面にしたようなものだから、当然と言えば当然かも知れない。次にどこかの組が『エリザベート』を上演しても、またぞろ彼女は「闇が広がる」の衣装をどこかで着ることになるのだろうか…もしかして、たあたん自身がそのダンスを踊ることになったりしてね。