『バッカス』『千拍子'99』初日速報

１１月とは思えない暖かい雨に降られた今日１２日、待望の雪組公演の幕が開きました。早速行って参りましたので、簡単に報告をば。

「にゃ、にゃにい、雪組に『コスプレ』!?」と思った作品、一言で表現するなら「（『ブルボンの封印』＋『春櫻賦』＋『浅茅が宿』）÷３」という感じです…これでおわかりいただけるかしらん。

谷先生らしく、いろーんな登場人物が入り乱れて話はもうもう「何がなにやら」。でも決して内容は濃くはありません。一応３０年戦争を扱ってはいるのですが、とにかく戦争の匂いがじぇんじぇんしない。それから、苦悩する人も出てこない。コメディというわけではありませんが、結構お気楽な娯楽作品って感じです。ま、見ていて「理不尽だ」と思うところがない（谷先生にしては珍しく、それほど説教くさくない）のと、いろんな人に場面が振り分けられていて、久々に台詞を聞いたな、って人が多いのが救いになってるくらいでしょうか。特定の誰かのファンでなければ、この芝居を何度も見るのはツライかも知れません。

たあたんの役は吟遊詩人のミッシェル。その割にあんまりロマンチックではない、かな…これは見た人の感じ方にもよるかも知れません。とどさん扮するジュリアンの仲間、と言えばそうだし、単なる絡み、と言えばそうかも。結果的にジュリアンと王妃アンヌ・ドートリッシュの公には出来ない愛の対極にいる人物として描かれているような感じです。何せ「振り返れば、そこに愛がある」ってんですから（く、クサイ…）。

コスプレときいて一番心配だったのは実は髪型だったんですが、黒っぽいストレートで結構似合ってました。あれでローブのような衣装だったら、何となく『アンジェリク』のジョフレ・ド・ペイラックに近いような雰囲気です。

大詰め近くに銀橋で、まひるちゃん扮する恋人のポーレット…これって『再会』のときもこういう名前の恋人がいたような気がしますが(^^;)、その役と「取って付ける（関西在住の方なら、システムキッチンのＣＭを思い浮かべられるかも知れませんね^^;;;）」って感じの場面があるのですが、それがその、なんつうか、その、つまり…詳しくは劇場でご覧下さいまし(*^_^*)。

これは結構楽しかった。堪能しました。５５分じゃ短い、お芝居削ってもう少しやってよ、って感じ。目新しさはあまりない、どちらかというと中村Ｂ先生的なショーなのですが、『ラヴィール』のときに「まぁた、同じ構成」と言われたのから脱皮して（ロケットが１回で、しかも中詰めのあとにあったり）、しかも自分独自の世界を作っているって感じです。『香港夜想曲』を思えば、Ｂちゃん、よく頑張ったじゃない、って言ってあげてもいいかも。色彩的なメリハリも結構ありました。ま、中には首を傾げるようなのがないではなかったですがね。

最大の呼び物というと、とどさんのパイナップルの女王だと思うんですが、昔のようにダルマにはなっておられません。ですがなかなか迫力がありました…ちょっと苦しい表現です(^^;;;;;)。

今回の作品の特徴は「オールスターパレード」って感じで、とどさんも含め、１人でずーっとその場面をやってるってのが少な目なこと。だから、たあたんも出たり入ったり。プロローグでは「幸福を売る人」を声量たっぷりに。次のロンドンの場面、ハードな感じのダンスで格好良いんですが、これも結構短め。ただし、銀橋でもの凄い妙技を見せてくれます。これぞダンサー香寿たつきの面目躍如って感じですので、お見逃しなく。

中詰めはリオの場面。衣装が途中で替わりますが、いろんな人が出てきてとっても目まぐるしいです。ここでは、前夜祭でグンちゃんが歌われた「リオのリズム」を歌っておられます。その次のニューオリンズ、そしてニューヨークと続く場面は「DANCE　JAZZ　IN」に続く雪組総出演のハードな群舞ですが、ソフト帽に背広がとってもお似合い。毎度お馴染み「グンちゃんとの絡み」も含め（展開としてはワンパターンか？）軽快なダンスを見せてくれます。

フィナーレでは「アムール、それは」を歌われるんですが、大階段に広がった花輪を踏んづけてしまいそうで、見ていて怖かった…ただし、歌は前夜祭の硬さが取れて、随分伸びやかになりました。

最後のパレードの衣装も結構豪華です。そう言えば私がムカついたプロローグの衣装、今日見たら前夜祭よりも光り物や羽根が多くなっていたような感じです(^^)。私の怒りが天に届いた、かな。

上はとどさんから下はかしげちゃんクラスまで、銀橋で歌う場面のある人の多さに驚き、改めて「雪組は層が厚いな」って実感しました。娘役に、もう少し奮起が欲しいかな。

休演者は多彩しゅんさんのみ。開幕直前に負傷されたコムちゃんは元気に出演しておられました（怪我しているので、本調子ではなかった、かも）。

っととと、大事なことを忘れてた。長らく金髪に近かったたあたんの髪、黒っぽい色に戻っています。ただし、分け目は反対なので、うーん、『サジタリウス』のフィナーレの髪型に近いかな。